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[寄稿] 志賀直哉読本

志賀直哉読本志賀直哉読本

吉祥寺・百年にて文芸臨時増刊「志賀直哉読本」を購入。発行は昭和30年(1955年)と古く、また紙質も粗雑なので傷みが激しいのが気になったが、315円という安さならば致し方あるまい。

志賀直哉×川端康成×小林秀雄×丹羽文雄という豪華すぎる対談がハイライトだろうか。また多くの作家・評論家が志賀作品について、あるいは志賀直哉という人間像について原稿を寄せているのだが、その中でも小島信夫の原稿が格別に面白かった。志賀直哉を「小説の神様」と無条件に崇める世間への違和感を表明しているのだが、それは志賀文学に対する畏敬の念と嫉妬心の裏返しだろうと思われる部分が見え隠れしていて、その警戒心を隠さないネチネチした(褒め言葉である)小島信夫らしい原稿を読むだけでも購入する価値は充分あると思う。

それにしても現在の百年の売場はすごいことになっていて、小島信夫と後藤明生がせめぎあうように並んでいる棚の周辺には、どこか近づきがたいほどの異様な気配が漂う。手を伸ばして本の背を持ち上げることさえ憚られるような均衡と調和が感じられるほどである。